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魅力的な人(「あちらにいる鬼」を読んで小説から学ぶ)

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「あちらにいる鬼」(井上荒野)という小説を読みました。瀬戸内寂聴と井上光晴とその妻についてか書かれています。著者は井上光晴の長女です。もう光源氏もびっくりの光晴の奔放ぶりに驚かされました。光晴は、1年365日、日常的に浮気している状態です。これがつい最近の話だということが信じられません。

妻がどうして別れなかったのかと考えると、多分一昔前までは、女性は離婚しても経済的に自立するのが難しかったからだと思います。働く場所もほとんどないし、出戻りに対する世間の目も冷たかっただろうと推測します。

寂聴さんが出家してから、光晴の妻や娘が交流していて、複雑な関係を築いていることも、とても奇妙に思えました。それぞれが複雑な思いを抱えながら、それを受け入れざるを得ない苦しさがひたひたと伝わってきました。

そして、この光晴がどうしてこんなにモテたのか、というと女性が喜ぶ言葉を知っていたからでした。「あなたいいじゃない。すごくいいよ。」と臆面もなく言い、「いざとなったら俺を頼ってきていいからね」と優しい言葉をかけるのです。意図的ではなく自然に出てくるのでしょう。これはすごい才能だなぁと関心すると共に、これが人に魅かれる方法なのだと学びました。相手が言ってほしい言葉を言う、というのは簡単なようで難しいです。考えれば考えるほどぎこちなくなってしまいます。真似をしようと思っても簡単にはできません。

世の中にはそういうことが結構あるなぁと最近よく思います。もしかしたら自分にしかできないこともあるかもしれませんよね。

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