久々に小説を読み終えました。今年本屋大賞を受賞した「52ヘルツのクジラたち」という本です。やや重いテーマの本で色々考えさせられました。
私がこの本を読んで思ったのは、人間一人でできることはそう多くないということです。毎日色々なことを考え、行動しているつもりでも、一日にできることは大した量ではありません。そして良かれと思ってやったことが、必ずしも相手のためにならないこともあります。そう考えると、自分の好意を受け取ってもらって、ありがとうと人の役に立てる機会は有難いことなのだと思います。
この小説の中で、虐待されていた主人公が、学校の先生との三者面談を受けました。その時担任が母親にその子の身だしなみ等を気にかけてあげてください、と言いました。その時の母親はしおらしく「すみません。改めます」と言って帰宅しましたが、改めるどころか母親は逆上し、「自分に恥をかかせるな」と虐待は更に悪化しました。この担任は良かれと思ってやったことが、結局は逆効果になってしまいました。
これを読んでから、自分にとっての善が必ずしも相手の善ではない、ということを意識するようになりました。具体的な行動に結び付けるのが難しい場合もありますが、この視点を忘れずにいたいと思います。