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「うつ病休職」はなぜ増えた?

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どうしてそんなに簡単に診断書がもらえるのか

ある日の雑談で「うつ病休職」の話が出て、気になったので「うつ病休職」(中島聡著)という本を読んでみました。なぜうつ病患者が増えたかというと、簡単にうつ病の診断書を書いてもらえるようになったからです。

しかし医師がどうしてそんなに簡単に診断書を書くのかが不思議でした。問診で「眠れない」とか「落ち込む」と言っても信憑性はあるのでしょうか。

この本の中で、筆者は「うつ病」と「抑うつ反応」は別物だと言っています。うつ病というのは素因であって、了解不能なものだそうです。逆にストレスがかかって発症するのは「抑うつ反応」で、こちらは誰でも発症する可能性があるとのことです。90年代まではこれらを分けて診断していたものが、新薬の承認により、これらを一緒に診断するようになってしまったようです。そのため抑うつ反応もうつ病と診断されるようになり、2000年代にはそれまでの5倍の患者数になっています。

労使双方にメリットがある

うつ病の診断書を書いてもらって休職する、というのは労働者にとっても、企業側にとっても問題を先送りにした安易な回避措置とも言えます。根本的には長時間労働やパワハラ等の労務問題があればそれをなくさないといけません。そうではなく単に本人が怠けたい、逃げたい、という状態であれば、それはうつ病ではないので、そのような診断をすべきではないのです(建前としては)。

とは言え、日本の労働基準法では労働者を簡単に解雇することができません。やる気がないなら辞めてくれ、とは早々言えないのです。そのために起業は一定の休職期間を設けて、解雇権の濫用に当たらないように対処しなければなりません。そういう意味で企業側にとって、「休みなさい」という診断書が必要なのです。

労務問題を考えるきっかけになります

すごくざっくりと書いてしまいましたが、書籍の中では、事例が数多く記載されていますし、判例もわかりやすく解説されています。これを踏まえて社労士として労務問題解決に切り込んでいけたらカッコイイな、などと思ってしまいましたが…実際はそんな簡単じゃないと思います。

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